『大学受験』と「高校受験」は全くの別物です
現高校2年生が受験する『令和8年共通テスト』まで残り1年となりました。
高校受験のときには「3年生になったら受験生」「部活を引退してから始めれば」「夏休みから本格始動」といった感覚で何とかなった人もいるでしょう。
しかし、このような『成功体験』はすべて大学受験には通用しません。今すぐ捨て去ってください。
「高校受験」の感覚で『大学受験』に臨もうとすると痛い目に合うことになります。『大学受験』は「高校受験」とは全くの別物です。
では、いったい何が違うのか? 具体的に見ていきましょう。
1.競争相手が違う
「高校受験」が学区単位の狭いエリアでの競争であるのに対し、『大学受験』は言うまでもなく『全国規模』の競争となります。まさに大都市圏の受験生も交えた競争となります。
さらに競争する学力層も異なってきます。高校進学率は100%に近い数字となっていますが、大学進学率は約60%。ざっくり考えると全国の高校生の上位3割の位置で平均(偏差値50)程度と言うことになります。
加えて、私立大学の約6割が定員割れの状況にあることを考えると、全国の上位40%程度の高校生が実質的な競争相手であるということになります。
大学さえ選ばなければ、進学できる大学はあります。しかし普通に受験で勝ち抜こうと思えば、『全国の進学校』同士での競い合いとなるのです。
2.必要な学習量が違う
『大学受験』に必要とされる知識量は「高校受験」に必要なそれとどれくらい違うのか?
3倍4倍どころではなく、感覚的に言えば『桁』が違います。
例えば「英語」。小中学校で教わる英単語数が約2200~2600語、共通テストに必要とされる英単語数が4000~6000語程度、難関大だと6000~7000語が必要と言われます。単語数だけでも2倍から3倍必要とされるのですが、語数だけではなく単語の中身も"dog"などの日常的なものが”abstruct"(抽象的な)のような抽象性の高いものとなってきます。これにイディオム(熟語)や構文、文法事項だけでもかなりの量となり、そして、これらの基礎知識を前提とした長文の読解は質・量ともにかなり難易度を増してきます。
「数学」をみると、共通テストでは『数ⅠA』『数ⅡBC』を課されることが多いのですが、『数ⅡBC』だけでも、「式と証明」「複素数と方程式」「図形と方程式」「三角関数」「指数関数・対数関数」「微分法」「積分法」「数列」「統計的な推測」「ベクトル」「複素数平面」「式と曲線」が内容となります。これに『数ⅠA』が加わり、理系の場合にはさらに『数Ⅲ』が課されるのです。
他にも国語(古文・漢文を含む)、社会、理科(特に理系の物理・化学は2ケタは違います)、情報なども必要とされ、『大学受験』に必要な学習量がどの程度必要なのか、それらをマスターするためにどれだけの学習時間が必要なのかということが容易にご理解いただけると思います。
3.受験の形式が違う
「高校受験」の受験形式と言えば、公立高校の場合せいぜい「前期」「後期」ぐらいしかなく、ほとんどの人が「後期選抜」で受験されたと思います。
しかし現在の『大学受験』が受験形式がかなり多様化してきています。国公立大学でも年内の『総合型選抜(旧AO入試)』『学校推薦型選抜』による募集定員が令和7年度入試では全体の24.3%、4人に1人に迫る勢いとなっており、従来の「レアケース」ではなく有効な選択肢のひとつとして認識されています。私立大学では『併願可能』な「総合型選抜」「学校推薦型選抜」を行うところも増えており、一部では年内に学力型選抜を行う大学も現れてきています。
つまり『大学受験』は「多様化」「早期化」が急速に進んでいます。「夏休みから」などと考えていると「いつのまにか受験機会を見過ごしている」ということにもなりかねません。